「リビンマッチ・土地活用」今回は「一括借り上げのメリット・デメリット」です。

一括借り上げとは、マンションやアパートなどの不動産を不動産管理会社が一括で借り上げ、オーナーに代わって入居者の募集や家賃を回収などの賃貸経営を行うことを指します。

すべての賃貸管理を委託できるので土地活用の方法として有用ですが、デメリットも存在します。

一括借り上げのメリット

一括借り上げの主なメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、契約の流れと合わせて、メリットを解説していきます。

一括借り上げの流れ

まずは、一括借り上げ契約成立までの流れを見てみましょう。

  1. 物件の調査
    一括借り上げの依頼をした管理会社が、土地や物件などの査定を行います。その結果をもとにオーナーと管理会社が協議し、家賃や契約内容を決めていきます。老朽化が進んでいる物件の場合には、リフォームを求められることもあります。
  2. 契約
    家賃や契約内容に問題がなければ契約成立です。成立後は、管理会社が該当物件の管理実務を行います。
  3. 入居
    入居者の募集や入居審査も、すべて管理会社が実施します。また、家賃の集金や、家賃滞納者に対する督促も管理会社が行います。この対価として、オーナーは家賃の10%程度を管理会社に支払います。

一括借り上げのメリット

賃貸経営における最大のリスクは「空室リスク」です。入居者が決まらなければ、その間の利益はゼロになってしまいます。しかし、一括借り上げでは毎月の家賃が保証されているため、空室のリスクを解消することができます。これは賃貸経営において、大きなメリットといえるでしょう。

管理の手間が省けるのもメリットのひとつです。通常、物件の管理や入居者の募集、契約手続き、入居者同士のトラブルやクレーム対応、物件の維持などはオーナーが自ら行わなければいけませんが、一括借り上げの場合には、管理会社に業務のすべてを委託できます。

本当にメリットなのかは要確認

一括借り上げでは10%程度の手数料を支払わなければいけないため、賃貸需要が多い都市部にある物件の場合、手数料を払ってまで契約する価値があるのかどうかを、しっかりと検討する必要があります。

一括借り上げのデメリット

一括借り上げにもデメリットは存在します。ここでは、具体的なデメリットを例に挙げて考察していきます。

一括借り上げ特有のコストがかかる

最大のデメリットは「手数料」です。賃料の10%、物件の条件が悪ければ20%程度の手数料を管理会社に支払わなければいけません。そもそも、不動産投資は利益率が大きくはないので、10%程度の手数料でも投資の失敗につながる可能性があります。

また、自己管理の場合には、礼金や更新料といった家賃以外の収入も発生しますが、一括借り上げでは、「保証された家賃以外の収入は管理会社のものになる」という点もデメリットになるでしょう。

トラブルのリスクがある

「土地活用のためにローンを組んで投資、一括借り上げ契約をしたが、家賃を減額され赤字になった」というケースは後を絶ちません。

不動産業者が、「節税のためには土地活用をして、アパートやマンションを建てた方が得」「管理は管理会社が行い、家賃も保証されるので安心」などというセールストークで投資を煽ってくるケースもあります。しかし、実際には、不動産業者と建築関係業者が提携していたり、建築の受注によって不動産業者が紹介手数料を受け取れる仕組みになっていたりする例もあるので注意が必要です。

一括借り上げによる賃貸経営を始めた数年間は順調に収益が上がることもありますが、物件の老朽化や、近隣に競合物件が増えるなどの環境変化が起こると、家賃の減額を求められると思って間違いありません。

収支計画は新築時の家賃で計算しているケースが多いため、このような家賃の減額が発生すると、一気に赤字経営に転落してしまう可能性があります。

一方的に解約される可能性がある

契約更新時や、契約内容の見直しを行う際に条件が合意しなかったり、管理会社が赤字になってしまったりした場合には、契約を解除されることがあります。「30年間一括借り上げ」などの契約も話題になっていますが、実際には定期的に契約内容を見直すため、契約当初の条件で30年間借り上げるわけではありません。

契約を解除されてしまった場合は、自分で物件の管理をするか、新たな管理会社を探して契約することになりますが、物件に需要がなければ、最悪の事態になる恐れもあるので注意が必要です。

そもそも、一括借り上げの契約を解除されると経営が成り立たなくなるような物件には投資するべきではありません。しかし、不動産投資の初心者には、その見極めが難しいでしょう。

一括借り上げは利用するべきなのか

ここでは、一括借り上げ契約に向いているケースと、そうではないケースに分けて、契約するべきか否かを考察していきます。

一括借り上げに向いているケース

一括借り上げの利用に向いているのは、どのようなケースなのでしょうか。

  • 土地活用や賃貸経営の初心者
    初めての不動産投資では、すべての経営や管理を自分で行うのは難しく、リスクも大きくなります。最初は一括借り上げを利用して管理会社に丸投げし、少しずつノウハウを積んでいくというのも、投資を成功させるひとつの方法です。ただし、管理会社の選択は慎重に行うようにしましょう。
  • 物件が遠方にある場合
    自己管理したいけれど物件の所在地が遠いというケースでも、一括借り上げが役に立ちます。

このように、不動産投資の初心者や、副業で賃貸経営を考えている場合には、一括借り上げ契約を検討する余地があるでしょう。

一括借り上げに向いていないケース

逆に、一括借り上げに不向きなケースをみていきます。

  • 不動産投資の知識や経験が豊富
    不動産投資に対するノウハウが豊富であれば、わざわざ手数料を払って一括借り上げを利用する必要はありません。物件の自己管理はコストを削減できるので、利益の最大化にも繋がります。
  • 経営に手間をかけたくない場合
    賃貸管理の手間を省いて収入を得たいと考えている人にとっては、一括借り上げのシステムが役立つように思えるかもしれませんが、一概にそうとも言い切れません。

管理だけが面倒という場合には、「一般管理委託」を選択するという方法もあります。なお、一般管理契約では、主に以下のような管理を委託することができます。

  • 家賃回収
  • クレーム、家賃滞納時の督促、事故発生時の対応
  • 退去時の立会業務

手数料は3%から5%程度で済むケースがほとんどです。10%以上の手数料が必要となる一括借り上げと管理の内容を比較して、どちらにするのかを検討する価値は十分にあるでしょう。

一括借り上げの注意点と解約方法

ここでは、一括借り上げ契約の注意点と解約方法を解説します。どちらも、一括借り上げを利用する前に確認しておきたい事項です。

契約成立で安心してはいけない

気をつけたいのは、「一括借り上げの契約成立=土地活用の成功」ではないということです。

相続対策などの土地活用で、需要のない場所にアパートやマンションなどを建てても、いずれは大きなリスクに見舞われることになります。

また、契約する管理会社は、複数の会社を比較してから検討するようにしましょう。一括借り上げの条件や手数料率、経営方針などは各社で大きく異なります。さまざまな会社の条件を比較するには時間も手間もかかりますが、後悔しないためにも必ず実行してください。

一括借り上げ契約を解約するには

口頭で解約意志を伝えれば問題なしという管理会社もありますが、トラブルを防ぐためにも、書面での解約通知を行いましょう。なお、新たに別の管理会社に管理委託をする場合には、委任状を新管理会社に提出することで、手続きの代行を依頼できます。

解約が決まった後は、賃貸契約書や敷金などの引き渡しを確認してから、入居者へ管理会社変更の旨を連絡し、新しい管理会社へ移行します。

  • 30年間などの長期で契約している場合
    契約の解除は不可能ではありませんが、かなり難しいと思ってください。物件の売却ともなればなおさらです。いずれにしても、3か月から半年前を目途に解約の通知をする必要がありますが、条件なども含めて、契約の前に確認しておく方が無難です。

一括借り上げのメリットとリスクをしっかり理解しよう!

一括借り上げ契約が成立しても、解除や家賃減額などのリスクはなくなりません。

契約をしたからといって一括借り上げだけに頼ることのない、将来を見据えた不動産投資をしていきましょう。